社会人受験生向け公認会計士の試験合格方法を解説

社会人受験生向け公認会計士の試験合格方法を解説

社会的地位が高く、安定性があり、高収入が期待される公認会計士。ここ数年、会社員や公務員・教員などの職業に就きながら公認会計士を目指すケースが増えています。

しかし、公認会計士試験は医師国家試験や司法試験に並ぶ三大国家試験。合格率はわずか10%前後という超難関です。

そこでこの記事では、社会人で公認会計士を目指す方のために、知っておきたい試験内容から効率的な学習法を解説し、万一不合格だった場合の再就職対策についても紹介していきます。

公認会計士試験とは

公認会計士試験とは

公認会計士は企業や法人の「監査」業務に携わることが認められている唯一の国家資格。

公認会計士試験は、監査業務に必要な知識・応用力を身につけているかどうかを判定するためのもので、金融庁の「公認会計士・監査審査会」が実施しています。

公認会計士試験の概要

公認会計士試験制度は2006年に改訂され、新制度での試験概要は下記のとおりです。

受験資格
受験資格なし。学歴・年齢・性別・国籍・実務経験など一切不問で、だれでも受けられます。
試験期日
短答式は年2回(第1回が12月上旬、第2回が5月下旬)。論文式は年1回(8月下旬の3日間)。短答式の第1回か第2回のどちらかに合格すれば次の論文式試験を受けることができます。
試験地
全国11か所の財務支局・総合事務局の所在地(北海道、宮城県、東京都、石川県、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、熊本県、沖縄県)。東京都は2~3会場設けられる場合もあります。試験地は自由に選ぶことができるので、試験当日に都合の良い場所を選ぶようにしましょう。
試験科目と配点
“短答式(マークシート式):財務会計論(200点)・管理会計論(100点)・監査論(100点)・企業法(100点)の計4科目500点満点
論文式(記述式):会計学(300点)・監査論(100点)・企業法(100点)・租税法(100点)+選択科目1科目(100点)の計5科目700点満点 ※選択科目は経営学・経済学・民法・統計学のうち1科目”
合格基準

短答式:総点数の70%を基準として、審査会が相当と認めた得点比率で判定します。ただし、1科目につき得点比率が40%を満たさない場合は不合格。

論文式:総点数の52%の得点比率を基準として、審査会が相当と認めた得点比率で判定します。ただし、1科目につき得点比率が40%に満たない場合は不合格。

試験科目の免除制度

短答式:短答式に合格して論文式が不合格だった場合、再試験では短答式が免除され、論文式だけ受ければよいとされています。ただし、この免除期間は2年間と決められており、短答式に合格した翌年とその次の年に限られる点に要注意。

論文式:総点数が合格基準に達していなくても、審査会が相当と認めた得点比率を得た科目があれば、その科目について2年間免除されます。ただし、得意科目が免除になると次の試験は不得意科目ばかりになって総点数が下がってしまうというリスクも考えられます。そのため、受験科目が減るというメリットと比べてどちらが自分にとって有利かを慎重に判断する必要があるでしょう。

試験合格後は実務経験と修了考査が必要

公認会計士試験に合格しただけでは公認会計士と称することができません。

合格後に監査法人などで2年以上の実務経験(業務補助と実務補習)を積み、最終関門である修了考査に合格し、日本公認会計士協会の公認会計士名簿に登録することによって初めて公認会計士として活動することができます。

社会人の受験・合格状況

社会人の受験・合格状況

ここ数年、社会人から公認会計士を目指すケースが増加傾向にあります。

「公認会計士・監査審査会」が例年発表している「合格者調」によると、社会人(会計士補、会計事務所員、税理士、会社員、教員、教育・学習支援員を含む)の願書提出者数は2018年が3,419名、2019年が3,645名、2020年が3,521名、2021年が3,763名で、減少する年もありますが全体的に右肩上がりのラインを描いています。

社会人の合格者は2021年は3,763名中181名、合格率は4.8%です。合格者が最も多い属性は学生で、願書提出者が6,122名に対し合格者が808名、合格率は13.2%となっています。

公認会計士の試験は専門性の高い知識を要するため、商学部・経済学部・経営学部の学生や卒業生が有利と伝統的に言われてきました。

しかし、昨今は法学部や理工系の学部の合格者が増えており、出身学部がこれまでのように合否にかかわることはなくなったと言われています。

また、公認会計士試験制度が見直されて科目の免除制度などが生まれたこともあり、社会人でも受験しやすくなりました。

働きながら公認会計士を目指すのは簡単なことではありませんが、社会人にとっては以前より公認会計士への門戸が広くなったことは確かです。

仕事と勉強の両立で公認会計士合格は現実的か?

上記のように2021年の公認会計士試験では、社会人の合格者が181名です。これだけの社会人が勝利を手にしたのですから、仕事と勉強の両立はけっして無理なことではありません。

公認会計士試験を見てみるとは出題量が多く、出題範囲も膨大です。そのようなことから公認会計士試験に受かるために必要な勉強時間は3,500時間とも5,000時間とも言われています。

これは弁護士になるための司法試験に合格するまでに必要な勉強時間とあまり変わりません。

3,500時間は1日5時間ずつとして約2年間です。その期間、モチベーションをキープして知識の習得・定着に努めなければなりません。

「今日は残業だったから」「飲み会を断れなかったから」などと仕事優先では、何もできないまま2年があっという間に過ぎてしまいます。

公認会計士試験の受験生であることを理解してくれる職場環境でなければ、社会人が合格するのはかなり難しいでしょう。

仕事と勉強の両立は無理ではないとは言え、平日でも勉強に充てる時間を十分確保できる環境で、本人に自己管理能力が備わっていることが大前提です。

社会人が本気で公認会計士を目指すなら専念もおすすめ

社会人が本気で公認会計士を目指すなら専念もおすすめ

公認会計士試験に合格するのに5~6年かかってもよいと長期戦で臨む社会人は別ですが、短期合格を目指すのであれば、仕事を辞めて勉強に専念することを検討してみましょう。

1日7~8時間、仕事と思って勉強に取り組めるなら、早ければ1年合格も可能です。

独学で公認会計士試験合格は無理?

退職して独学で公認会計士を目指そうとする社会人も見受けられますが、それは無謀な計画と言わざるを得ません。

繰り返しますが公認会計士試験は出題範囲が広く、しかも専門的知識を必要とする難関です。簿記の知識もなく0からスタートする社会人が独学では、よほどの努力家でない限り頓挫するのは時間の問題と言えるでしょう。

そうした失敗を避けるためには、公認会計士の専門学校や資格予備校(スクール)でプロ講師の指導を受けるのがベストです。

公認会計士試験に特化したコースなら、試験に出やすい範囲に絞った効率的なカリキュラムを用いて、スケジュール通りに勉強できるので短期合格につながります。

公認会計士専門学校や資格予備校で受講するのが最短ルート

公認会計士専門学校や資格予備校には通学制と通信制(オンライン授業)があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。

自分の性格や生活状況、今の課題などを考え併せて選ぶようにしましょう。ここでは公認会計士試験での合格実績が豊富な3校を紹介します。

通学制なら大原専門学校

公認会計士の「集中資格取得コース(全日)」では平日は毎日授業があります。授業時間は通常コース(大学生や社会人対象コース)の1.5~2倍もあるため、やり残しがなく着実に学力アップが望めます。

また、担任制なのでモチベーション維持の仕方などメンタル面でのサポートを受けることも可能。

大原学園は文部科学省から「職業実践専門課程を持つ専修学校」と認定されているので、2年制以上のコースでは短大と同じように学割が利くのも魅力です。

【費用】集中資格取得コース:780,000円

https://www.o-hara.ac.jp/syutyu/#course

通信制ならクレアール

クレアールは「非常識学習法」で知られる通信制専門の資格予備校です。

非常識学習法とは、「公認会計士試験で満点を取る必要はない」という“非常識”な考えのもと、試験によく出る範囲内に限定して徹底的に学習する方法です。

学習範囲を絞っているためテキストも他校に比べて薄いのが特徴です。しかし、中身は凝縮されたものなので、テキストに載っていることを習得すれば間違いなく合格力がついていきます。

【費用】標準講座(短答・論文トータルサクセスコース):540,000円

https://www.crear-ac.co.jp/cpa/highspeed_totalsuccess/

通学・通信併用ならCPA

CPAは、校舎のない地域の受験生のために、教室での講義を収録した動画を配信するweb通信を行っています。遠方の生徒でもライブ講義を翌日には視聴でき、教室と遜色のないペースで勉強することができます。

web通信だけでなくスクーリング制度も設けており、受講期間中は教室で答練などを受けることもできます。また、校舎に講師が常駐しているので、生徒は質問や相談があるときはいつでも来校して講師と面談できるようになっています。

【費用】2年スタンダードコース:790,000円

https://cpa-net.jp/cpa-course/table.html#syogaku

以上の他にも、TACやLECなど公認会計士コースのある人気予備校があります。各校の合格体験記なども参考にして、自分に最も合う学校を探すようにしましょう。

不合格になった場合のこともちゃんと考える

不合格になった場合のこともちゃんと考える

社会人が離職して予備校にも通って勉強したのに不合格、という残念なケースも当然あります。公認会計士試験の合格率は平均10%で、2021年度は9.6%まで低下しました。

公認会計士試験の門戸は広くなっても問題そのものがやさしくなったわけではないので、合格率の低さは相変わらずというわけです。

そこで考えなければならないのが社会人が不合格になった場合の身の処し方です。再受験する人や元の職場に復帰できる人以外は、転職活動をする必要があるでしょう。

受験の経験は強力な武器になる

不合格だったとはいえ、受験対策に費やした期間に習得した会計知識は社会人にとって強力な武器になります。

履歴書には予備校に通っていたことは記載しないのが通例なので、その間はブランクになります。しかし、ニートだったわけではありませんから「公認会計士試験のための勉強をしていた」ということが人事担当者に伝わるように記載しましょう。

短答式の試験に合格したのであればその旨を必ず書きます。短答式に合格したということは簿記1級に合格できるレベルとみなされ、経理部門を希望する際は極めて有利になるからです。

公認会計士の受験勉強で習得した会計の知識は、企業の経理部門のほかに経営コンサルタントやM&Aコンサルタント、ITコンサルタントなどの仕事にも活かすことができます。

転職を考えるなら1年でも早いほうがよい

このように、社会人から公認会計士試験に挑戦したことは決して無駄にはなりません。ただ、転職する場合は年齢がネックになりやすいもの。

35歳を超えると知識があっても無資格では転職も厳しくなります。公認会計士試験から撤退して転職するのであれば1年でも早いほうがよいので、タイミングを見誤らないことが大切です。

【まとめ】

社会人から公認会計士を目指す人は男性女性を問わず増えています。

その理由として、企業の健全な発展のために欠かせない会計は常に需要が多いという「安定性」と、一般企業の社員より明らかに高い「年収」が挙げられます。

公認会計士を受け入れる側も、社会で働いてきた中で養われたコミュニケーション力やビジネススキルを高く評価し、経験者を歓迎する傾向があります。

社会人から公認会計士になるには勉強時間の確保と、スケジュール通りに学習できる自己管理能力がカギになります。

一人では難しいという場合は、専門学校や資格予備校の力を借りて第一歩を踏み出すことをおすすめします。